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車の後部座席のスモークガラスはなぜ熱割れしない?

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国家資格1級ガラスフィルム施工技能士

窓フィルムBridge_栗野 孝太

 

お疲れ様です。9月に入り、そういう時期なのかもしれませんが、抜け毛が止まらない栗野です。もう、髪の毛を洗うたびにビックリです。今の内に対策した方が良いとは聞きますが、アデランス的なもの以外で、何か良い方法があれば是非(是非!×2)教えてください。話は随分と変わり、お客様との会話で、「なぜ、車の後部座席の窓ガラスはスモークフィルムを貼っていても熱割れしないの?」と聞かれたことがあります。実は私もこのフィルム施工をやりたての頃は同じ疑問を持っていた一人なんです。窓ガラスフィルム施工ではとても大事な『熱割れ』について、今日はちょっとだけ嚙み砕いてお話させていただきますね。最後までお付き合いください。

 

 

この記事を読むための時間:3分

ガラスの熱割れ現象

以前の記事(=猛暑で窓ガラスにヒビが入る?? | 窓フィルムBridge)にも触れていますが、熱割れ現象とは、温度差の変化やギャップでガラスにヒビが入る現象のことを言います。キンキンに冷えたビールグラスに熱湯を注ぐとヒビがピキーン!って入るあの現象。ガラスってとてもナイーブで、時には鋭く尖り、非常に扱いが難しいものなんです。色々ある商材の中で、巻いたり、折ったり、組立が出来たりと、このご時世ほとんどの商材が柔軟性を持ちますが、ガラスはそのような融通が効かない頑固者で、移動時も1枚物そのままの状態で、慎重さが必要となります。って、話はそれましたが、僕らフィルム施工業者は、この熱割れ現象(リスク)というのをしっかり頭に入れ、時には施工をお断りする判断をしないといけないケースもあったりします。

 

熱割れが起こりやすいフィルム

では、熱割れを起こしやすいフィルムはどのようなものか?

ズバリ!↓↓

 

黒っぽいフィルム(淡色ではなく濃色)

熱を吸収するタイプの遮熱フィルム(日射吸収率が高い)

 

この2つです!

ここで冒頭に戻りますが、車の後部座席の窓ガラスに貼っているスモークフィルムは黒いけど、熱割れは大丈夫なの?と思いますよね?ひつこいですが、私もこのお仕事をしたての頃はそのような疑問を持っていました。実は、上記のような熱割れリスクの高いフィルムでも窓ガラスの種類や環境によっては、スモークフィルムでも心配なく貼ることが出来たりするんです!

 

hot crack glass question

熱割れが起こりやすいガラス

車のフロントガラスは、合わせガラス(2枚のガラスの間に合成樹脂を挟み込んで圧着したもの)が装着されていますが、両サイドの窓ガラスは安全上を考え、強化ガラスが入っています。この強化ガラスは、一般のガラスと比べ、強度が3~5倍衝撃や圧力に強く、又、耐熱性もあり急速な温度変化にも強いガラスなんです。スモークフィルムが貼られた車のガラスが割れていないのは、耐熱性のある(強化)ガラスだからなんです。しかし、熱割れに相性が良いガラスばかりではなく、むしろ相性が悪いガラスが多いんです。

特に、

 

  • 網入りガラス
  • 熱線吸収ガラス
  • 熱線反射ガラス
  • Low-Eガラス
  • 複層ガラス

 

その他、劣化したガラス大きさや厚みのあるガラスは温度差ギャップに弱く、熱割れリスクの高いガラスの対象になってきたりします。

熱割れが起こりやすい環境

では、上記に当てはまらないのに必ず熱割れが起こらないのかというと、そうではないんです。ここが少し複雑化する部分です。全てではないですが下記にてポイントを紹介しますね。

 

・窓の方角

→南や西は日射が常にあたる為、熱膨張率が上がり熱割れリスクも高まる

・カーテンやブラインドの存在

→ガラスとカーテンの間に熱がこもり熱割れリスクが高まる

・冷房機器の位置

→冷気が直接窓ガラスに当たると熱割れリスクが高まる

・窓近くにある信号や木の存在

→それが影となり、陽が当たる面と当たらない面での温度差が生まれ熱割れリスクが高まる

・サッシの種類

→樹脂サッシや淡色サッシではないサッシは熱割れリスクが高まる  etc…

 

色々とシチュエーションがあるので、判断が難しいですよね!そこで、上記のようなフィルムやガラスの種類、厚み、メーカー、環境面はどうか等の細かな項目を用いて、フィルムを貼っても大丈夫かどうかの『熱割れ試算』を行うことができます

 

熱割れ試算(計算)

熱割れのリスクを事前に知るためには、「熱割れ試算」を行うことをお薦めしております。これを一個人で試算するとなると何をどのようにすれば良いか?非常にハードルが高いので、この熱割れ試算をすることに費用はかかりませんので(当店は無料)、是非、お近くのフィルム施工業者様へご相談、確認されることです。この熱割れ試算は、上記のようなガラスの劣化具合や環境、不確定要素により数値を固定することができないため、あくまで試算としてで、決して保証値ではありませんが、リスクが高いのか、低いのかを判断するための目安として活用することができます。最終的にリスク含め、貼るor 貼らないの最終判断を決めるのはフィルム業者ではなく施主様になります

許容熱応力と熱膨張

ところで、冬場と夏場では電車のレールの長さが変わる!とよく聞きますよね!これはレールが日射等によって温まり熱膨張するのが原因です。窓ガラスも同じように日射が当たり続けるとガラス自体に熱がこもり膨らもうとする応力がかかります。上記のようにガラスとフィルムの関係で、ライン引きされた基準値(許容熱応力)を超えると熱割れ試算結果は『NG』となり、発生応力が許容熱応力より下回ると、目安としてですがフィルムを貼っても良い(リスクは低い)という判断ができます

まとめ

窓ガラスフィルムは機能性や効果の持続性も高い商材ですので、世間での認知度や業界としての施工件数は年々増え続けています。市場的にもこれからも増え続けていくと思っております。しかし、間違った認識で安易に貼ってしまうと余計な費用や労力、嫌な思いをしてしまうことも考えられます。熱割れ試算はそういう意味でもとても効果的ですので、ご興味のある方は是非、お近くのフィルム業者へご相談くださいね。

最後までご一読いただきありがとうございました。

 

窓フィルムBridge 栗野

 

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